幸村 誠

講談社

グループ:Book

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価格:¥ 590

発売日:2007-10-23

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カスタマーレビュー

1013年。時代は大波の中  (2008-04-08)
 幸村誠さんのヴァイキング英雄叙事詩・第5巻。
 イングランド軍に追われるデンマーク第二王子・クヌート。絶体絶命のクヌート王子をイングランドの猛将トルケルから奪い返し、この護衛に自らの命運をも賭けたアシェラッド――しかし、一世一代の大博打は、彼の思わぬ方向へと進んでいく。
 相手の裏をかき、陸路を選んだアシェラッド軍であったが、それが災いして雪で身動きがとれなくなってしまう。さらに不運なことに、身を隠していた村さえもトルケルにばれ、冬の逃亡を余儀なくされる。この混乱に乗じて、クヌート側近のラグナル暗殺という策をこうじるアシェラッドであったが、死に際のラグナルから、クヌートがすでにスヴェン王から見限られていたことを知らされる。立て続けに運を逃すアシェラッドに対し、味方の中にも不穏な空気が流れ出す。そしてトルケル軍に追いつかれる寸前、ついに仲間割れが起こる――。
 
 5巻を読んでの感想はアシェラッドが「らしくない」ということに尽きる。トールズの命さえも獲った、戦において天賦の嗅覚を持つ智将・・・であるはずが、ことごとく運気を逃し最後には自分の命さえ危うくする。この悪循環は、クヌート王子護衛に就いてからのものだろう。王子捕獲にトルケルが関わっていることを知りながらも、無理を通してクヌートを助け出した時点ですでに「らしく」なかったのかもしれない。
 そもそも疑問なのは戦場で逃げ回ることしかできない、貧弱な王子にアシェラッドがそこまで固執する理由だ。ラグナルから真実を聞かされた後でさえ、彼ははクヌートを捨てない。状況から考えても、クヌートを守り抜くことにメリットはない。執拗なまでにクヌートにこだわっているようにもみえるアシェラッド。何か理由があるのだろうか?
 「オレの主はオレがついていきたくなるような男であるべきだ」
 「真の王がアヴァロンからお戻りになられるのを待てなくなったのさ」
 時おり口からこぼれる「王」という言葉。ラグナルが死んだことさえ認められない弱々しい王子に、アシェラッドは一体何を見ているのだろうか? もしかしたらそれは見当違いではないのかもしれない。裏切った味方に捉えられる寸前、彼らはトルケル軍と激突。「アシェラッド以外は全部殺って良し」というトルケルの一言で事態は一変する。そこにアシェラッドを呼び戻しに来たトルフィンが割って入り、トルケルとトルフィンの一騎打ちに。「トルフィン、お前が勝ったら逃がしてやろう」と言い放つトルケル。アシェラッドにとって、この一連の流れはより大きな運を手にするための一つの壁なのか、それともやはり命運尽きたのか。
 トルフィンとトルケルの戦いに、すべてが委ねられた。

 実際の歴史をみれば今後の大きな展開は予想できるのだが。アシェラッド、トルフィン、クヌートなどなど、物語の鍵を握る人物達の動きは全く予想ができない。イングランド―デンマークを統べることになる「北海帝国」の大王誕生までに、どんなドラマが繰り広げられるのだろうか。続きが楽しみでならない。
 1013年という時代の、人々の「生きる感覚」さえリアルに伝えてくれる作品。すごい漫画だ。

おもしろいコミックです。  (2008-02-09)
ストーリー、展開のスピード、錬られた伏線、キャラクターの魅力、画力。
全てが良い。

マンガならではのダイナミックさもあり、作品の根底に流れるテーマ「愛」が作者ならではの見せ方で展開しており、最後に昇華しそうで、非常に良い作品ですね。

迫力の世界  (2008-01-11)
「プラネテス」の作者と知って、5巻一気に読んだ。
宇宙とはうってかわって11世紀初頭の歴史物だが、緻密な描写は通ずる所があり
安心して読み進められた。
しっかりした土台の壮大なファンタジーとしても薦められるあたりが、
間口の広さを感じさせる。
若干展開がゆっくりな気もするが、主人公トルフィンがたどり着く先を
これからも楽しみに追っていきたい。
個人的には、一気に読んでしまったので次が待ち遠しい…。

今回は怒濤のアクション  (2007-11-24)
追い詰められそうなところをなんとかすり抜けてゆくアシュラッド。
しかし、ツキが落ちてどうしても足跡を残してしまい、徐々に
トルケルに追い込まれてゆく。
追いつかれたら確実にブッコロがされてしまう状況なので、緊迫感がある。

一方、相変わらずキリスト坊主は自分勝手な信仰心で、王子の反感まで
買ってしまう始末。
問題を解決しようとせず、自身の突発的な身勝手な正義を振りかざして
騒ぎを起こしているだけ。
作者のキリスト教の愛に対する皮肉がよく伝わってきました。

ビョルンのキノコ!  (2007-10-31)
刊行ペースが遅い遅いといわれながら、それでもいつの間にかもう5巻です。
そして、前巻よりストーリの展開速度が増してきた感があります。

本作は、近頃珍しく、再読に耐える骨太なストーリ構成を持っています。
例えば、トルフィンがブチ切れるシーンがあり一読して何故そこまで切れるのか
疑問に思ったのですが、再読して、周りを包囲されたトールズが全身に矢を受ける
シーンが再現されているということに気付きました。作者が意識的にそうした演出
を施しているかどうかはわかりませんが、そういう深読みを許容する緻密さがこの作品に
あるのは間違いありません。その他、トールズ暗殺を依頼した人物とスヴェン王の側近と
思しき人物が同じ。気付けよっていう話はありますが、間が空いてしまったので…

その他再読して色々発見した伏線はありますが、トルケルの「ヴァルハラ」、
トールズの「アヴァロン」、キリスト教徒たちの愛、これらが弾け交じりあい、
トルフィンの「ヴィンランド」(題名だし)がどのような姿を現すのかが、
今後の見どころになるものと期待しています。